福島第一原発事故

水素爆発はなぜ起こったか 


3月12日に福島第一原発1号機で、14日には3号機、15日には4号機で爆発が起き、建屋の上部が崩壊しました。崩壊した壁は厚さ約1メートルの鉄筋コンクリート製であることから、この爆発のすさまじさが想像できます。この爆発は、建屋内にたまっていた水素が空気中の酸素と反応して起きた水素爆発と考えられています。

水素爆発は、酸素濃度が5%以上、水素濃度が4%以上混ざった気体に点火すると起こる爆発のことです。温度が500℃よりも高くなると自然に発火し、爆発が起きてしまいます。今回の建屋の爆発は、自然発火というよりも何らかのきっかけで着火したものと考えられます。

原子炉内の水素はどこから来たか

原子炉は高温の燃料棒によって周りの水を沸騰させる、湯沸かし器のようなもので、その水蒸気の温度は約280℃にもなります。地震後、原子炉は自動停止して核反応は止まりましたが、燃料棒は発熱しつづけています(下記の【Q&A】参照)。冷却系統が壊れてしまったために、現在、1、 2、3号機においてはその水位が下がり、通常は水に覆われているはずの燃料棒が、むき出し状態で非常に高温(千数百℃)になりました。燃料棒はジルコニウムという金属の合金で覆われていますが、このジルコニウムは非常に高温になると、周囲の水蒸気(水)と激しく反応します。具体的には、高温の金属が水から酸素をうばい、残った水素が発生してしまったと考えられます。

【Q&A】原子炉をなぜ冷やす?

水素と酸素がたまり、水素爆発

こうして1〜3号機の原子炉の圧力容器で発生した水素は、配管や容器などの破損箇所を通って原子炉を覆う最も外側の建屋(下記の【Column】参照)に漏れ出し、たまっていたと考えられます。その水素と建屋内の気体の酸素が混ざった結果、水素爆発が起きました。
また、4号機では、使用済み燃料プールで高温の燃料棒のむき出し状態が続いたことで水素が発生し、同様の水素爆発が起きてしまいました。

【Column】原子炉の構造と破られた5重の壁


 圧力容器 や燃料プールへ冷却のための注水が続けられていますが、1〜3号機の圧力容器内では、いまだに燃料棒はむき出しで、水素が発生しつづけていると考えられま す。この状態が続くと新たな水素爆発の危険があります。

この危険に対し、4月7日のニュースでは、1号機の格納容器内に窒素ガスの封入が報じられました。 窒素ガスは空気中の濃度78%を占める、燃えにくいガスです。窒素ガスを入れることにより、原子炉内全体の気体に対する酸素と水素の濃度の割合が下がり、 水素爆発を防ぐことができます。


執筆:科学コミュニケーター 田端萌子
2011/4/13 掲載