メディアラボ第19期展示「匂わずにいられない!~奥深き嗅覚の世界~」公開

2017年12月13日(水)~ 2018年5月21日(月)の期間、メディアラボ第19期展示「匂わずにいられない!~奥深き嗅覚の世界~」を公開します。

本展示について

近年の研究によってわかってきた成果のなかから、鼻が「匂い物質」をいかに捉えるのかと、脳が匂いをいかに感じ、感情にどう影響を与えるのか、という2つの視点から奥深い嗅覚の世界を紹介します。

会場では、さまざまな匂いを実際にかぎながら、嗅覚の不思議を体感することができます。匂いが鼻に捉えられ、感情や脳に影響を与える仕組みを紹介します。嗅覚のしくみの奥深さを知れば、今までとは違う感覚で「匂わずにいられない!」ことでしょう。

展示概要

展示は「匂い体験」もできる、5つのコーナーで構成されています。展示パネルには、本展示の出展者である東京大学教授・東原和成氏をキャラクター化したイラストが描かれており、来館者を奥深い匂いの世界へ案内します。
※【匂い体験】と書いてある展示では、会場で実際に匂いをかいでみることができます。

1.匂いの世界へ

・【匂い体験】匂いのもとは化学物質

ここでは、古書、パンジーの花、土という身近にある3つのものの匂いを意識してかぐ体験をします。じっくりとかぐことで、ふだん目にしているものでもさまざまな匂いがあることに気がつきます。

それぞれのものからは、匂いのもととなる化学物質(匂い物質)が発せられています。例えば、古書の匂いには、バニラの匂い物質「バニリン」やお酢の匂い物質「酢酸」が含まれています。

多様な化学物質の組み合わせによって匂いが構成されていることを、化学物質の構造式グラフィックとともに紹介しています。

2.[レッスン1]多様な匂いを感じる仕組み

私たちヒトの鼻には「嗅覚受容体」とよばれる約400種類の匂いセンサーが存在します。匂い物質がこのセンサーにはまると、匂いを感じることができます。展示では、この匂いセンサーの仕組みについて興味深い実験を2つ紹介します。

・【匂い体験】 感じる?感じない?
スミレやパンジーの匂いに含まれる「β-イオノン」という匂い物質は、対応する匂いセンサーのかたちが人によって異なることがわかっています。結合のしやすさが異なるため、感じる匂いの強さも人によって異なります。

・【匂い体験】 匂いは、「組み合わせ」
シナモン、レモン、ライムの3つの匂いを組み合わせると、コーラ飲料の匂いを再現することができます。さまざまな匂い物質がそれぞれの匂いセンサーにはまることで、匂いは複雑に変化します。

3.[レッスン2]匂いは感情をゆさぶる

私たちがなんとなく感じている匂いが、脳や感情にはたらきかけることが近年わかってきました。展示では、東原氏の研究グループによる2つの成果を紹介します。

・【匂い体験】 悪臭を、かいでみよ!・・・そっとね。
イソ吉草酸という匂い物質は、汗や靴下の悪臭に含まれています。この匂い物質をかぐと、ストレスを示すα-アミラーゼという物質がだ液にあらわれます。ところが、イソ吉草酸にバニラの匂い物質「バニリン」を加えるとチョコレートのような心地よい匂いに変化し、ストレスが軽減されることがわかりました。

・匂いと愛
匂いを頼りに母マウスが赤ちゃんを運ぶなど、赤ちゃんが発する匂いがマウスの子育てでは重要な役割を果たします。ヒトでも同じとは限りませんが、東原氏の研究グループが未就学児の父母を対象に行ったアンケート調査では、赤ちゃんの頭の匂いに愛着をもつ人が多いことがわかっています。

4.鼻を休めましょう

2つの匂いレッスンを終えて、少し鼻を休憩させるコーナーです。自分の手首の匂いをかぐことで、鼻をリセットします。 また、ここでは、匂いを言葉で表現する手法の1つ、「アロマホイール」を紹介しています。円形の図表に、似ている匂いが隣り合わせに書かれており、言語化された匂いの一覧を見ると、多様な匂いがあることを実感できます。例えば、東原氏が作成に関わったワインのアロマホイールでは、120種類もの分類があり、「レモン」「バラ」といったおなじみの表現に加え、「ゆであずき」「薬箱」などという表現も使われています。その他、日本酒や醤油の匂いについても紹介しています。

5.[レッスン3]匂いを、語れ

・【匂い体験】 匂いを言葉で表現してみよう
匂いを言葉で表現できるようになると、もっと匂いを楽しむことができます。 これまでのレッスンで学んだことを思い出しながら、匂いをかいで言葉に表してみましょう。
※【レッスン3】での匂い体験は、東原氏の研究グループの調査も兼ねており、次の研究テーマを生み出す一助になります。

メディアラボについて

日本科学未来館 常設展「メディアラボ」は、定期的な展示更新を行いながら、先端情報技術による表現の可能性を紹介し、新しい世界観の提示を行っていくスペースです。

出展者〔プロフィール〕

東原和成氏(とうはら・かずしげ)
東京大学大学院農学生命科学研究科教授、JST ERATO 「東原化学感覚シグナルプロジェクト」研究統括

1989年、東京大学農学部農芸化学科卒業後、アメリカへ留学し化学分野で博士課程を修了、デューク大学医学部博士研究員を経て'95年帰国。神戸大学バイオシグナル研究センター助手、東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻助教授などを経て、現職。

概要

名 称: メディアラボ第19期展示「匂わずにいられない!~奥深き嗅覚の世界~」
会 期: 2017年12月13日(水) ~ 2018年5月21日(月)
時 間: 10:00~17:00
場 所: 日本科学未来館 3階 常設展「メディアラボ」
出展者: 科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 ERATO「東原化学感覚シグナルプロジェクト」
(研究総括:東京大学大学院農学生命科学研究科 応用生命化学専攻 生物化学研究室 教授 東原和成氏)

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